やさしい商業登記教室 第29回 特例有限会社の取扱い


1.会社法は来年5月頃施行予定といわれていますが、会社法が施行されますと、その時点で存続する有限会社は、会社法の適用を受ける株式会社になります。ただし、前回述べましたように、株式会社であっても、その商号は、従来と同様「有限会社」という文字を用いなければなりません。

2.以上の株式会社を「特例有限会社」といいますが、これらの株式会社は、いわば有限会社のメリット(取締役についての任期の制限はなく、決算公告の義務もない。)を保有したまま株式会社になるわけですが、株式会社といっても、商号には「有限会社」という文字が付きますので、イメージ的には、いかにも小規模な家族的な会社という印象を与えます。

3.特例有限会社は、そのままでも、いつまでも特例有限会社として存続できます。株式会社になったからといって、原則として、特別の登記をする必要もありません。定款についても、定款変更の手続をとらなくても株式会社の定款に適合するよう必要なみなし規定が設けられています。しかし、それによって、会社の手元にある書面としての定款が自動的に書き換えられるわけではありません。

4.そこで、来年会社法が施行されますと、できる限り早い機会に「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」第2条から第44条の定めるところに従って、会社にある定款を書き直す方がよいといえます。
 なお、特例有限会社は、通常の株式会社へすみやかに移行すべきでしょうか。それは、会社の経営判断ということになりますが、次回にその判断資料を提供することにします。