やさしい商業登記教室 第41回 補欠の意義(3・総括)…特に補欠監査役について


 補欠監査役の意義については、「補欠の意義(2)」において柔軟な対応を要望してみたが、実務は厳格な解釈で運用されているようなので、「補欠の意義(1)、(2)」で述べたことを、次のとおり総括する。

1. 監査役の任期の短縮

 監査役の任期の短縮ができるのは、補欠監査役の場合のみである(会社法336条3項。但し336条4項参照)。

2. 補欠監査役の意義

 補欠監査役とは、次の三つの要件のすべてを充足する場合をいう(会社法329条2項参照)。

 (1) 補欠監査役の任期について、定款にこれを短縮する旨の定めがある。

 (2) ①監査役を欠くことになる(監査役全員がいなくなる)か又は②会社法若しくは③定款で定めた監査役の員数を欠くことになる。

 (3) 後任者を前任者の補欠として(任期は、前任者の残り任期として)選任する。

3. 留意点

 (1) 補欠として選任することは、株主総会議事録に明記する必要がある。

 (2) 定款に、例えば監査役の員数を「2名以内」と定め、監査役2名を選任している会社において、監査役1名が辞任し、その後任者を補欠として選任しても、この監査役は前記2の(2)③の要件を欠き補欠には該当しない。

 (3) 前述(2)の場合において、後任監査役の任期を前任者の残り任期とし、退任を証する書面として「監査役何某及び何某は、定款第何条第何項の規定により本定時総会の終結をもって任期満了退任する」旨の記載がある株主総会議事録を添付して任期満了又は重任の登記を申請すれば受理される(重任の場合は、株主総会議事録に更に選任事項の記載等が必要であることはいうまでもない。)が、この登記申請は、虚偽の登記申請として後々問題が生じる余地があり、司法書士としての責任を問われる可能性もある。