商業登記漫歩 平成25年9月9日号(52号)

◇ 6月21日、東京司法書士協同組合から「合同会社の設立手続 ?合同会社の活用法と選択肢付モデル定款の様式?」を発行しました。
  これは、江頭教授が商事法務研究会主催の座談会において、「合同会社は、もっと利用されてよい。しかし、おそらくその障害になるのは、黒田先生が仰った「合同会社の設計コスト」です。これについては、実務的な工夫が必要だと思います。単なるモデルをつくっただけではだめで、選択肢のあるモデルをつくる。たとえば、この問題についてはどう定款に決めますかということに関し、先ほど出たチェック・ザ・ボックスではないけれども、望ましい定款をこの中から選んでくださいというようなモデルをつくる必要が出てくると思いいます。実務でそのようなことを工夫していくことが重要という気がしています。」と述べておられること(江頭憲治郎ほか「〈座談会〉合同会社等の実態と課題[下]」商事法務1945号37頁以下)をヒントに、自己の非力をも省みずチャレンジしてみたものです。お陰様で、発売2か月余にして、残部300余という好調さです。
  そこで、ご購入いただいた司法書士の皆様への感謝をこめて、前記書籍執筆時に考えた合同会社に関する事項を、月に1回程度、Q&A方式で、「やさしい商業登記教室」に掲載してみることにしました。やさしい商業登記教室ですから、初歩的なことが中心になります。ご期待ください。

◇ 特例民法法人の移行申請率は、93.1%
  9月2日発行の「公益認定等委員会だより」22号によれば、8月末時点で、新公益法人制度への移行を希望する特例民法法人は20,761法人。このうち、国には96.1%が申請済み、都道府県には92.2%が申請済みとのことです。今後申請を予定している法人は、国では176法人、都道府県では1,262法人とのことですから、完全に山は越えたといえます。移行申請の期限は今年の11月30日です。11月30日は、土曜日ですが、12月2日の月曜日が期限になることはありませんので、ご注意ください。公益認定等委員会及び都道府県では、平成26年4月1日(火曜日)に移行の登記を希望する法人については、それが可能となるよう配慮されるとのことです。
  なお、今年の11月30日までに移行の申請をしない特例民法法人、申請をしても申請が認められなかった特例民法法人については、解散したものとみなされて(整備法46条)、旧主務官庁から登記所へ解散登記の嘱託がなされます(整備法46条2項)ので、当該法人は、その後、清算人の登記を申請し、清算事務を進めて、清算が結了次第、清算結了の登記を申請することになります(整備法65条1項、77条6項)。(満)