やさしい商業登記教室 第12回 平成16年10月1日から改正商法施行


◇ 10月1日から本年6月9日に公布された「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」(平成16年法律第88号)のうち、商法の改正に関する部分が施行されます。
 
  商法は、平成11年以降毎年改正され、極めて重要な改正がなされていますが、今回施行される部分も、株券の不発行等極めて重要な改正です。

◇ 10月1日から施行される主な改正個所は、次のとおりです。

 1、株券不発行制度が導入されました。

  (1) 定款に、「株券を発行しない」旨の定めを設ければ(このような定めを設けている会社を「株券廃止会社」といいます。)、株券を発行しなくてもよい。

  (2) 定款に「株券譲渡制限の定め」を設けている会社(このような会社を「譲渡制限会社」といいます。)は、定款に株券不発行の定めを設けていなくても、株主から請求がない限り、株券を発行しなくてもよい。

  (3) 株券の保管振替制度を利用している公開会社については、本年6月9日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日に「株券を発行しない旨の定款変更の決議をした」ものとみなされますので、定款変更の手続は不要です。なお、公開会社について、施行が先きになるのは、新しい振替制度のためのコンピュータシステムの構築等に相当の期間を要するためです。

 2、新株予約権証券の不発行制度も導入されました。

 3、株主名簿の閉鎖制度が廃止され、基準日の制度のみになりました。

 4、新株引受人は、払込期日の当日から株主となります。

 5、株券の寄託制度の廃止等株券不所持制度が合理化されました。

◇ 今年の第159回国会では、改正商法(平成16年法律第87号)が成立していますが、これは、平成17年2月1日施行に向けて手続が進められているようです。この点については、施行日が確定次第お知らせします。