やさしい商業登記教室 第13回 平成16年改正商法と株券の不発行制度


◇ 10月1日から施行される改正商法により、次の場合には、株券を発行する必要はありません。

 1、定款に、「当会社の株式については、株券を発行しない。」というような定めを設けた会社(改正商法227条1項)。この会社を株券廃止会社といいます。

 2、定款に、株式譲渡制限の定めがある場合において、すべての株主から株券発行の請求がないため株券を発行していない会社(改正商法226条1項ただし書)。
   この会社と次の3の会社を準株券廃止会社といいます。

 3、すべての株主から株券不所持の申出がなされているため株券を発行していない会社(改正商法226条ノ2)。

◇ ところで、株券廃止会社に移行するためには、定款に「株券を発行しない」旨の定めを設け、前記1の会社については、その旨および会社の定める一定の日において株券は無効となる旨をその日の2週間前に定款に定める公告の方法にしたがって公告し、かつ、株主および株主名簿に記載のある質権者(登録質権者)に各別に通知しなければなりません(改正商法351条1項)。ただし、前記2および3の会社については、株券不発行の定めを設けた旨および会社の定める一定の日において株券不発行の定めの設定の効力が生ずる旨をその日の2週間前に会社が定款に定める公告の方法にしたがって公告するか、公告の代わりに、株主、端株主および新株引受権もしくは新株予約権を有する者に通知することもできます(改正商法351条4項)。