やさしい商業登記教室 第22回 株式の分割と会社が発行する株式の総数


◇ 日本経済新聞にウイークデーは毎日のように「株式の分割に関する取締役会決議公告」が掲載されています。ライブドアのように1株を100株に分割する会社もあります。

◇ ところで、平成13年10月1日までは、ライブドアのような株式分割は困難でした。それは、当時は、株式を分割するためには、次の条件をクリアしなければならなかったからです。
1.額面株式1株の金額は5万円を下ることができない。
2.分割後の1株当たりの純資産は5万円を下ることができない。
3.分割後の発行済株式の総数に額面株式1株の金額を乗じた額は、資本の額を超えることができない。
4.分割後の発行済株式の総数は、会社が発行する株式の総数の範囲内でなければならない。

◇ ところが、平成13年の商法の改正により同年10月1日から額面株式の制度が廃止され、前記2の条件も廃止されたうえ、4の条件についても、「取締役会の決議をもって定款を変更して会社が発行する株式の総数を株式の分割の割合に応じて増加することを得」とする規定が設けられた(商法218条2項本文)ため、会社は、取締役会の決議だけで必要に応じ、自由に株式の分割をすることができることになりました(商法218条1項)。

◇ このようにして増加した自己株式があれば、買収資金がなくても、「株式交換」という制度を利用すれば比較的容易に会社の買収が可能となります。もちろん、自己株式がなければ新株発行をすることによって対応することもできます。
  「株式交換」制度については、次回に説明します。