やさしい商業登記教室 第24回 株式交換制度


1、株式交換制度は、完全親子会社関係(親会社が子会社の発行済株式の総数を有する親子会社関係)を円滑に創設するための制度で、完全子会社となる会社の株主の有するその会社の株式を完全親会社となる会社に移転し、完全子会社となる会社の株主は、完全親会社となる会社が発行する新株の割当てを受けることにより、完全親会社となる会社の株主となる制度をいう(商法352条1項)。

 すなわち、株式交換によって完全子会社となる会社の株主の有するその会社の株式は、株式交換契約書に定めた株式交換の日に完全親会社となる会社に移転し、完全子会社となる会社の株主は、完全親会社となる会社が株式交換に際して発行する新株の割当てを受けることにより、株式交換の日に完全親会社となる会社の株主となるわけである(商法352条2項)

2、株式交換は、会社の合併と同様、経営効率化を図るための制度であるところから、その手続は、債権者保護手続が必要な点を除き、会社合併の手続と類似しているので、合併手続と対比して理解するとよい。

 ポイントは、株式交換契約書を作成して、完全親会社となる会社及び完全子会社となる会社の株主総会の特別決議による承認(議決権総数の過半数を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の多数)を得ることですが、完全親会社となる会社については、次の要件をみたすときは、株主総会ではなく、取締役会の決議でよいことです(商法358条)。

(1) 完全親会社となる会社が株式交換に際して発行する新株の総数(新株の発行に代えて完全子会社となる会社の株主に移転する自己株式は、株式交換に際して発行する新株とみなされる)がその会社の発行済株式の総数の20分の1を超えないこと。

(2) 完全子会社の株主に支払う株式交換交付金の額が最終の貸借対照表により完全親会社となる会社に現存する純資産額の50分の1を超えないこと。

3、ところで、株式交換による完全親会社の資本は、①株式交換の日の完全子会社の純資産額に、②その会社の発行済株式の総数に対する株式移転によって完全親会社に移転する株式の数の割合を乗じた額から、③完全子会社となる会社の株主に支払をすべき金額(株式交換交付金)および④商法356条の規定により完全子会社となる会社の株主に移転する株式(交換新株の代用として利用する自己株式)につき会計帳簿に記載した額の合計額を控除した額を限度として増加することができ(商法357条)、この限度額が現実に増加した資本の額を超えるときは、その超過額は、資本準備金として積み立てなければならない(商法288条ノ2第1項2号)。