やさしい商業登記教室 第4回 ほんとうによく改正される商法

A…やさしい商業登記教室主宰者
B…商業登記を愛する司法書士事務所のOL(司法書士補助者)
C…中小企業の総務担当者。目下、資格試験受験準備中

第4回 ほんとうによく改正される商法

A 今年も、4月1日から改正商法が施行されましたが、3月26日付の日本経済新聞によれば、今年の秋の臨時国会にも商法改正案が提出されるようです。

C ほんとうによく改正されますね。

B 施行日を基準に考えれば、平成13年に1回、平成14年に2回、平成15年に1回ですね。そして、今年も改正がなされるというわけですね。

A そうです。施行日を基準に考えますと、①平成13年10月1日から施行された改正商法(平成13年法律第79号)、②平成14年4月1日から施行された改正商法(平成13年法律第128号)、③平成14年5月1日から施行された改正商法(平成14年法律第149号)、そして、④平成15年4月1日から施行された改正商法(平成14年法律第44号)という状況です。商法に関心のある者でも、改正法を完全にフォローしていくのは大変です。関係者の悲鳴が聞こえてきそうです。

B 国家の基本法である商法が、どうして、こんなに頻繁に改正されるのでしょうか。過去に、商法がこんなに頻繁に改正されたことはないですよね。

A そうですね。かつては、商法の改正は、5年に1回という状況でした。このように、頻繁に改正されるのは、なんといっても近時における社会経済情勢の激変ではないでしょうか。経済情勢は、特に悪く、不良債権の処理は思うように進まず、株価も低迷を極め、企業の不祥事も後をたちません。そこで、商法のサイドからも何らかの対策が必要となります。平成13年・14年の商法の改正は、①企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実効性の確保、②企業の資金調達手段の改善、③高度情報化社会への対応、④企業活動の国際化への対応の四つの視点からなされたものですが、急を要する部分から随時改正されたため、このように1年に数度、しかも毎年改正されることになったものと思われます。また、このような大改正を一度にやることは、不可能ではないでしょうか。

C そうですね。数度に分けて改正されてもこれをフォローするのは大変ですから、これだけの大改正が一度になされるとすれば、完全に私の能力の限界を越えてしまいます。その点から考えれば、今のような改正方法の方がベターですね。

A いろいろな考え方はあると思いますが、私は、今こそ司法書士が会社法に取り組む絶好のチャンスだと思います。商法や有限会社法に定められている事項で、少なくとも登記手続を要するとされている事項については、司法書士が実体上の手続についても、アドヴァイスする必要があります。

 次回からは、改正商法のポイントをとりあげてみたいと思います。おそらく数10回に亘る連載になると思いますので、その前に、次回は例の最低資本金特例会社(確認会社)の設立手続をとりあげてみたいと思います。テーマは、「ほんとうに資本金1円で会社ができるのか」です。