やさしい商業登記教室 第6回 改正商法シリーズ 「大会社」、「みなし大会社」、「中会社」、「小会社」、「委員会設置会社」とは、どのような会社をいうのか
A…やさしい商業登記教室主宰者 B…商業登記を愛する司法書士事務所のOL(司法書士補助者) C…中小企業の総務担当者。目下、資格試験受験準備中 第6回 「大会社」、「みなし大会社」、「中会社」、「小会社」、「委員会設置会社」とは、どのような会社をいうのか A 大手企業の株主総会シーズンも6月で終りました。特に集中日の6月27日には全国で1,832社の定時株主総会が開催されたとのことです。 B 今、Aさんがおっしゃった以外に、「みなし大会社」、「中会社」、「小会社」という用語もあるようですが…。 C 「重要財産委員会設置会社」という会社もありますね…。 A そうですね。それでは、今日の「やさしい商業登記教室」は、これらの会社は、どのような会社をいうのか簡単に説明し、あわせて商業登記との関係を述べてみましょう。 C 是非お願いします。 A まず、「大会社」ですが、これは①資本の額が5億円以上の会社か、②最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が200億円以上の会社をいいます。この定義は、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」第1条の2第1項に規定されています。 B 会社の登記簿を見れば、大会社かどうかわかるのですか。 A 資本金5億円以上かどうかは登記簿でわかりますが、負債の額は登記されていませんので、登記簿からは、その会社が大会社かどうか、必ずしも明らかではありません。 B 「みなし大会社」かどうかも会社の登記簿を見てもわからないわけですね。 A そうです。 C 「中会社」という用語は、法律に出てくるのですか。 A 商法や、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律等の法律には用いられていません。 A 大企業の6月定時総会で話題になった「委員会等設置会社」とは、大会社またはみなし大会社で、定款に「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第2章第4節の適用を受ける」旨を定めた会社をいいます。マスコミでも盛んにとりあげられましたように、委員会等設置会社には、会社の機関として①指名委員会、②監査委員会、③報酬委員会の三つの委員会と④1人または数人の執行役が置かれ、監査役を置くことはできません。 C 取締役や代表取締役は、どうなるのですか。 A 代表取締役を置くことはできませんが、取締役が前記の三つの委員会を構成することになります。 B 各委員会は何名の取締役で構成するのですか。 A 委員会は、それぞれ取締役3人以上で組織し、その過半数は社外取締役であって委員会等設置会社の執行役でない者でなければなりません(商法特例法21条の8第4項)。 C 執行役とは、どういう機関ですか。 A 執行役は、①委員会等設置会社の業務を執行し、②取締役会の決議により委任を受けた事項の決定(商法特例法21条の7第3項)をする委員会等設置会社の機関で、取締役会において選任されます。 B 委員会等設置会社では代表取締役という制度はなくなったとのことですが、会社を代表して登記の申請や契約の締結をするのは、だれでしょうか。 A 委員会等設置会社を代表して業務の執行をするのは、代表執行役です。代表執行役は、取締役会の決議によって選任されますが、執行役が1人の場合は、その執行役が代表執行役になります(商法特例法21条の15)。 C ところで、社外取締役とは、どのような取締役をいうのでしょうか。 A 「社外取締役」という用語も、よく新聞や雑誌等に登場していますが、要するに、現在および過去において、その会社または子会社の業務を執行する取締役、執行役または支配人その他の使用人でない者またはなかった者をいいます。 |