やさしい商業登記教室 第14回 株券廃止会社等と公告に代えてする通知


1、株券廃止会社および準株券廃止会社が株式の消却や株式の併合等をする場合には、株券提出公告をする代わりに、効力発生日の2週間前に、会社が定款に定める公告の方法にしたがって公告しなければなりません(改正商法213条4項・215条ノ2)が、公告に代えて通知をすることもできます(改正商法228条ノ2)。そこで、株券廃止会社および準株券廃止会社の場合は、株主数も少ないので、公告費用を節約するためにも、通知をした方がよいと思われます。

2、通知する事項および通知の相手方
  公告に代えて通知をする場合には、例えば、株式消却の場合であれば、①株式の消却をする旨、②会社の定める一定の日において株式消却の効力が生ずる旨(もし、その日に商法376条1項及び2項の手続が未だ終了しないときはその終了の時に効力が生ずる旨)を、その日の2週間前に、株主、端株主、登録質権者、新株の引受権または新株予約権を有する者に通知することになります(改正商法213条4項、228条ノ2)。
  なお、株主以外の者がいない場合には、株主だけに通知すれば足ります。

3、通知の方法
  通知の方法は定められていませんが、通知をしたことを証する書面が登記の添付書面とされています(商登法86条2号)ので、書面によってすることになります。

4、公告の代わりに通知をすることができる場合
  公告の代わりに通知をすることができるのは、次の場合です(改正商法228条ノ2)。
  ①株式の消却、②株式の併合、③強制転換条項付株式の転換、④基準日の設定、⑤新株発行の場合における割当日、⑥新株発行無効の判決が確定した場合、⑦株式譲渡制限の定めの設定、⑧人的分割の場合における割当日