やさしい商業登記教室 第20回 平成17年制定・会社法と会社の設立(1)


 昨年12月8日、「会社法制の現代化に関する要綱案」が決定、公表され、2月には法務大臣に答申されるとのことです。会社法案は今国会に提案され、余程のことがない限り、今国会で成立するものと思われますので、要綱案から見た今後の「会社の設立」について、順次説明することにします。

1、会社法と会社の種類

 現行法の下においては、会社の種類は、①合名会社、②合資会社、③株式会社、④有限会社の4種類とされ、清算中の会社を除く現存会社数は、約309万社です。その内訳は、合名会社約1万9千社、合資会社約8万6千社、株式会社約114万社、有限会社約185万社ということです(商事法務1719号53頁の法務省の担当課長の解説)。

 ところで、会社法が制定されますと、会社数で最も多い有限会社の制度は廃止され、新たに設立される会社は株式会社に一本化されることになります。ただし、株式会社に一本化されるといっても、会社法の下における株式会社には現行の株式会社から有限会社的な株式会社(例えば、取締役1名のみで取締役会や監査役を設けない株式会社)まで存在することになります。したがって、同じ株式会社であっても、事業規模などに応じて会社の組織を柔軟に設計することができるようになります。

 なお、すでに設立されている有限会社は、そのまま有限会社として存続することも、株式会社に組織変更することもできます。

 また、合同会社という新しい会社が創設されます。

2、資本金

 最低資本金規制が撤廃されます。したがって、資本金1円の株式会社の設立も可能になります。

 現在、新事業創出促進法により認められている確認会社の制度が、資本金の面で一般化されるわけです。ただし、資本金は1円でも、株式会社を設立するには、定款の認証料(5万円)、登録免許税(最低15万円)等が必要になりますので、30万円前後のお金は準備する必要があります。