商業登記漫歩 平成16年10月4日号(8号)

◇ 9月27日付の日本経済新聞によれば、東京急行電鉄は、東証一部上場の東急百貨店を完全子会社(100%子会社)化するとのこと。同新聞によれば、来年前半に株式交換で全株式を取得し、百貨店を完全子会社にするとのことです。なお、現在の東急電鉄の百貨店株の持株の割合は、24.4%です。

◇ ところで、「株式交換」ですが、これは、東急電鉄と東急百貨店の間で株式交換契約書を作成し、株主総会の特別決議による承認を得る等(商法352条、353条)所定の手続を経れば、東急百貨店の株主は、東急百貨店の株式の代わりに東急電鉄の株式の割当てを受けて(東急百貨店株1株に対し、東急電鉄株0.32株)、東急電鉄の株主になるというものです。

◇ この制度は、M&A等の戦略として、多くの企業で利用されています。
  なお、翌9月28日の日本経済新聞には、東京急行電鉄が東急百貨店株を1株175円で117,100,000株買付けるという証券取引法による「公開買付開始公告」が掲載されました。
  これは、同公告によれば、東急電鉄が、東急百貨店の発行済株式総数の66.67%に達するまで取得して、株式交換契約書の承認を確実なものにするためでしょう。(満)