商業登記漫歩 平成16年12月27日号(14号)

◇ 平成16年最後の漫歩をお届けします。平成16年は、気象的には極めて異常な1年でした。春から12月まで続いた暑さ、平年の3倍の台風の上陸、集中豪雨、大地震と地球最後の日が近かづいているのではないかと思えるような1年でした。震災の被災者の皆様方の無事なる越年とすみやかな災害の復旧を願わずにはおれません。被災者の皆様、どうか良きお年をお迎えください。

◇ ところで、商事法務の世界で本年最大の出来事といえば、12月8日の「会社法制の現代化に関する要綱案」の部会決定、次が6月21日の商業登記のオンライン申請のスタートではないでしょうか。要綱案については、17年2月の法制審議会の総会において法務大臣に答申され、3月には通常国会に提出されるとのことですから、順調に行けば、6月頃には、「会社法」という新しい法律が誕生することになります。

◇ そこで、平成17年の商業登記倶楽部の最大の目標は、会社法の制定をチャンスとして「商業登記をベースとする司法書士の企業法務」の確立を図ることです。しかし、「司法書士の企業法務」といっても確立された概念があるわけではなく人それぞれ異なることと思われます。そこで、まず、司法書士にとって企業法務とは何かを考えてみる必要がありそうですが、当職は、この問題について、とりあえず「商業登記をベース」に考えてみたいと思います。

◇ ところで、当職にとってこの1年は?と聞かれれば、商業登記倶楽部の会員数も順調に伸び、照会事件も適当にあり、月刊誌の連載が2本、ビデオの作成が2回、桐蔭横浜大学法学部の客員教授(商法担当)就任、そして、1年の締めとして、当職の論文「会社の定款の認証をめぐる諸問題」が、「商法の現代を読み解く重要論文」の一つとして、東京大学法科大学院の副教材、上級商法・「閉鎖会社」(江頭憲治郎編)に収録されましたので、まずは順調な1年だったと思います。これも、ひとえに会員各位のご理解ご支援の賜と厚く御礼を申し上げます。

◇ 平成17年が企業法務関係の皆様にとって明るい希望に満ちた年でありますよう祈念して平成16年・漫歩の閉幕とします。
  皆様、良きお年を!!(満)